宝塚『ベルサイユのばら』フェルゼン編のあらすじを紹介!悲劇の王妃と貴公子の運命は?

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コラム

宝塚歌劇を代表する超人気作ベルサイユのばらの中でも、フェルゼン編はロマンティックでありながら、もっとも切ない物語として愛されています。
スウェーデン貴族フェルゼンとフランス王妃マリー・アントワネット、そしてオスカルたちの交錯する想いが、華麗な舞台と音楽で描かれます。
この記事では、宝塚版フェルゼン編のあらすじを軸に、他の編との違い、歴代上演傾向、観劇前に押さえたいポイントまで専門的に解説します。
ネタバレを含みますが、展開が分かっていても心を揺さぶられるのがこの作品の魅力です。観劇前の予習にも、観劇後の振り返りにもぜひご活用ください。

ベルサイユのばら フェルゼン編 あらすじの全体像

宝塚版ベルサイユのばら フェルゼン編は、原作漫画をベースにしつつも、舞台ならではのドラマティックな構成で再構築された作品です。
数あるバージョンの中で、フェルゼン編はスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンとマリー・アントワネットの恋を主軸に置き、フランス革命へと至る歴史的激動を背景に描きます。
オスカル編に比べると、軍人オスカルの成長物語というよりも、王妃と一人の若い貴公子の禁断の愛と、為政者としての責務との板挟みを繊細に掘り下げていく構造が特徴です。

物語は、若き日のフェルゼンが初めてフランス宮廷を訪れ、舞踏会でアントワネットと運命的な出会いを果たす場面から始まります。
そこから、仮面舞踏会のロマンティックな逢瀬、フランス革命前夜の不穏な空気、ヴァレンヌ逃亡事件を中心とした王族の危機、そして避けられない破局までが一気に描かれます。
宝塚ならではの華麗な群舞や大階段の場面を織り込みながらも、フェルゼンとアントワネットの感情の揺らぎを、歌とダンスと芝居で重層的に表現している点が大きな魅力です。

フェルゼン編で描かれる時代背景と物語の範囲

フェルゼン編の主な時間軸は、ルイ16世即位後の華やかな宮廷文化が花開く時期から、フランス革命勃発後の王政崩壊までです。
物語としてはおおまかに、フェルゼンとアントワネットが出会う前後の青春期、王妃の浪費や宮廷内の派閥争いによる民衆の不満の高まり、そしてバスティーユ襲撃から王妃一家の幽閉へと至るまでを扱います。
ラストは、アントワネットの処刑シーンを直接描くかどうかは演出版によって差がありますが、多くの場合、フェルゼンの回想や祈りの中で王妃の最期が象徴的に示されます。

歴史的には、実在のフェルゼンがマリー・アントワネットの恋人であったかどうかは諸説ありますが、宝塚版では二人の恋愛がはっきりと描かれます。
一方で、オスカルやアンドレといった架空のキャラクターも重要な役割を担い、王妃を守る近衛隊や民衆の代弁者としてドラマを牽引します。
フェルゼン編は、恋愛劇と歴史劇が高次元で融合しているため、歴史的事実を踏まえつつも、感情のドラマを最優先に再構成している点が特徴です。

フェルゼンとアントワネットの恋物語の位置づけ

フェルゼン編の核にあるのは、王妃と外国貴族という許されざる恋です。
アントワネットはフランス王妃として国家を背負う立場にあり、フェルゼンもまたスウェーデン王に仕える身。
その二人が互いの孤独を抱きしめ合うように惹かれ合う姿は、宝塚ファンのみならず、恋愛劇を愛する観客の心を揺さぶり続けています。
物語は、恋が芽生える瞬間のときめきよりも、恋を選べない苦悩や、責任との葛藤を重く描くことで、二人の関係を単なるロマンスではなく、歴史の渦に翻弄された運命として提示します。

フェルゼンは、アントワネットへの愛情だけでなく、政治的混乱から王妃一家を救おうとする使命感にも突き動かされています。
それは逃避的な恋ではなく、彼なりの騎士道と責任感に支えられたものであり、フェルゼン編のドラマに高貴な品格を与えています。
こうした恋と責務のジレンマこそが、オスカル編にはないフェルゼン編ならではの深みと言えるでしょう。

オスカル編との違いと見どころの比較

オスカル編とフェルゼン編は、同じベルサイユのばらでありながら、焦点となる人物と物語のトーンが大きく異なります。
オスカル編は、男装の麗人オスカルの成長と自己選択、そしてアンドレとの愛を軸に、民衆側の視点から革命へと突き進むダイナミックなドラマです。
一方、フェルゼン編は、王妃とその恋人の視点から、王政側の崩壊を内側から見つめる構造になっており、より叙情的でロマンティックなトーンが強調されます。

舞台構成にも違いがあり、オスカル編ではバスティーユ襲撃の群衆シーンや近衛隊の軍事的な場面がクライマックスを彩るのに対し、フェルゼン編ではヴァレンヌ逃亡の緊迫した追跡劇や、王妃との別れの場面が大きな見どころとなります。
両編の違いを整理すると、次のようになります。

オスカル編 フェルゼン編
主人公: オスカルとアンドレ 主人公: フェルゼンとアントワネット
視点: 民衆・近衛隊側 視点: 王妃・宮廷側
クライマックス: バスティーユ襲撃など革命シーン クライマックス: ヴァレンヌ逃亡と最後の別れ
テーマ: 自由・平等・自己犠牲 テーマ: 禁断の愛・責務と恋の葛藤

どちらも独立して楽しめますが、両編を見比べることで、同じ歴史的事件に異なる角度から光が当てられていることが分かり、一層奥行きのある鑑賞体験となります。

第一幕のあらすじ:出会いから仮面舞踏会まで

第一幕は、フェルゼンとアントワネットの出会い、そして恋の芽生えまでを中心に描きます。
宝塚ならではの華やかな宮廷シーンが連続し、観客を一気に十八世紀末のフランスへと誘います。
フェルゼン編を語る上で欠かせない仮面舞踏会のシーンもこの幕に含まれ、宝塚ファンの間で名場面として語り継がれています。
第一幕の構成を知っておくと、人物の立ち位置や感情の変化が理解しやすくなり、第二幕以降の悲劇性がより際立ちます。

ここでは、若く理想にあふれたフェルゼンが、まだ政治的危機を自覚していないアントワネットに出会い、互いにとってかけがえのない存在になっていく過程が繊細に描かれます。
同時に、オスカルやアンドレ、民衆の不満の気配も少しずつ提示され、恋物語の背後に迫る不穏な影が観客に予感として伝わる構造になっています。

フェルゼンとアントワネットの運命的な出会い

物語冒頭、スウェーデンから留学中の若き伯爵フェルゼンは、憧れのフランス宮廷に招かれます。
彼はすでに社交界で注目を集める存在ですが、王妃アントワネットと正式に対面するのはこのときが初めてです。
宮廷の豪奢な舞踏会の中、フェルゼンはアントワネットの自由奔放さと眩しい笑顔に心を奪われます。
一方のアントワネットも、周囲に取り巻く利害関係の中で、純粋な敬意と憧れを向けてくるフェルゼンに強く惹かれていきます。

この出会いの場面では、宝塚らしい大人数のダンスシーンと共に、フェルゼンとアントワネットのデュエットや短い会話が巧みに織り込まれます。
まだ恋と呼ぶにはあまりに初々しい、しかし運命的な引力を感じさせる演出が多くの観客を魅了します。
舞台ごとに演出や台詞のニュアンスが異なることもあり、歴代のトップスターごとの解釈の違いを楽しめるポイントにもなっています。

仮面舞踏会と禁断の恋の芽生え

フェルゼン編の象徴的な名場面が、仮面舞踏会です。
仮面によって身分や立場を一時的に隠したうえで、二人がより率直な思いを交わすことができるという演劇的仕掛けが、このシーンの大きな魅力です。
アントワネットは王妃としてでなく、一人の女性としてフェルゼンと向き合い、フェルゼンもまた、王妃に対する敬意と、ひとりの女性への恋心との間で揺れます。
仮面が外される瞬間には、観客もまた二人の運命を悟り、胸が締め付けられるような感覚を共有します。

ここで重要なのは、二人が積極的に不倫を楽しもうとしているのではなく、互いの孤独を癒やし合う存在になってしまったという点です。
アントワネットは、フランス王妃としての責任の重さと孤立、フェルゼンは異国での孤独と理想主義の挫折を抱えています。
仮面舞踏会の幻想的な空間は、そんな二人が本音を交わせる稀有な場であり、その後のすれ違いや決断をより痛切に感じさせる伏線となっています。

宮廷の華やかさと民衆の不満の対比

第一幕後半では、宮廷のきらびやかさの裏側で、フランス社会に広がる貧困と不満が描かれます。
アントワネットの浪費、首飾り事件など、王妃を巡るスキャンダルは民衆の怒りの矛先となり、やがて革命へとつながる土壌を形成していきます。
宝塚版では、華やかなシャンデリアの下で踊る貴族たちと、路地裏でパンを求めて騒ぐ民衆の群舞が対比的に配置され、視覚的にも分かりやすく構成されています。
このギャップが大きければ大きいほど、後の崩壊劇がドラマティックに感じられるよう計算されています。

オスカルやアンドレは、こうした対立構造の中で重要な橋渡し役となります。
オスカルはベルサイユの近衛隊長として王妃を守る立場にありながら、民衆の苦しみにも目を背けられない人物として描かれます。
アンドレは庶民の出自から民衆の怒りを肌で感じており、彼らの視線を観客に伝える役割を担います。
第一幕の時点ではまだ決定的な革命の火種は見えませんが、音楽や照明、群舞のニュアンスを通じて、確実に崩壊へと向かっていることが暗示されています。

第二幕のあらすじ:ヴァレンヌ逃亡と悲劇の結末

第二幕では、第一幕の華やかさから一転し、フランス革命の激動と王政崩壊が中心となります。
フェルゼンが王妃一家の脱出計画を主導するヴァレンヌ逃亡事件は、フェルゼン編最大のクライマックスです。
ここから物語は、恋愛劇としての甘さよりも、歴史の荒波の中で愛を貫けなかった人々の悲劇性へと重心を移していきます。
恋を諦めても、国と民を救うことはできなかったという二重の喪失が、フェルゼン編の圧倒的な余韻を生みます。

第二幕は、宝塚らしい壮大な群集シーンと、一対一の繊細な対話シーンが絶妙に交錯する構成です。
観客は、革命のただ中にいる王妃一家の恐怖と、それでもなお気高さを失わない姿に心を打たれます。
フェルゼン自身も、祖国スウェーデンとフランス、アントワネットへの愛と政治的責務の間で引き裂かれていきます。
その葛藤の果てに下す彼の決断が、フェルゼン編全体のテーマを象徴しています。

革命の勃発とフェルゼンの決意

バスティーユ襲撃以降、フランスは急速に革命へと傾いていきます。
民衆の怒号がベルサイユ宮殿を包み込み、貴族たちは次々と国外逃亡を図ります。
この中でフェルゼンは、アントワネットを置き去りにして自分だけが安全な場所に身を寄せることに耐えられず、あえて危険を冒してフランスに戻る決意を固めます。
それは恋人としての情熱であると同時に、一人の騎士としての責務感に基づくものとして描かれます。

宝塚の舞台では、この決意の場面に大きなソロナンバーが置かれることが多く、トップスターの表現力が問われる重要なシーンです。
フェルゼンは自らの立場の脆さを自覚しつつも、王妃と王太子を救おうとする理想から目を背けません。
観客は、彼の決意が無謀でありながらも高潔であることを感じ取り、後に訪れる失敗と喪失がより一層痛ましく映ることになります。

ヴァレンヌ逃亡の失敗と二人の別れ

フェルゼン編最大の山場が、ヴァレンヌ逃亡です。
フェルゼンは馬車と護衛を手配し、王妃一家をパリから逃がそうとしますが、旅の途中で計画は露見し、ヴァレンヌで捕らえられてしまいます。
宝塚版では、この逃亡劇がスピード感ある群舞と緊迫した音楽で描かれ、観客に息を呑むような緊張感を与えます。
協力者たちの焦燥、追いかける民衆の怒号、そして馬車の中で不安に震える王妃一家の様子が、舞台上で同時多発的に進行していきます。

逃亡が失敗した後、フェルゼンとアントワネットは事実上の決別を迎えます。
二人は互いを想いながらも、もはや共に歩む未来がないことを理解しています。
アントワネットは王妃としてフランスに残ることを選び、フェルゼンは一度フランスを離れざるを得ません。
ここで交わされる別れのデュエットや抱擁は、宝塚的ロマンティシズムの極致でありながら、決して甘くはなく、歴史の重みを背負った痛切な場面となっています。

王妃の最期とフェルゼンのその後

ヴァレンヌ逃亡失敗後、王妃アントワネットはやがて裁判にかけられ、処刑されます。
宝塚版では、処刑台そのものを写実的に描くことは少なく、多くの場合、光と音楽、群集のコーラスなど象徴的な手法で王妃の最期が表現されます。
アントワネットは最後まで王妃としての誇りを失わず、静かに運命を受け入れる姿を見せます。
その姿は、第一幕で描かれた自由奔放な少女とは全く異なる、試練を経て成熟した女性像として観客の胸に刻まれます。

一方フェルゼンは、遠く離れた場所から王妃の死を知ることになります。
彼は悔恨と喪失感に苛まれながらも、アントワネットへの愛を胸に生き続けますが、歴史的事実としてフェルゼン自身も後に民衆に襲われ命を落とします。
宝塚の演出版によっては、フェルゼンの最期までを描くパターンと、アントワネットの思い出と共に生きる姿で幕を閉じるパターンがありますが、いずれも愛と歴史の交錯が生んだ壮大な悲劇として観客に深い余韻を残します。

フェルゼン編の主要キャラクターと関係性

フェルゼン編を深く味わうためには、主要キャラクター同士の関係性を整理しておくことが有効です。
主人公フェルゼンとアントワネットだけでなく、オスカル、アンドレ、ルイ16世、ロザリー、さらには革命を象徴する民衆のリーダーたちが、物語に厚みを与えています。
それぞれの人物が、歴史的役割と個人的感情の間で揺れ動く姿が描かれることで、単なる恋愛物語では終わらない多層的な世界観が形成されています。

特に宝塚作品では、スターシステムとの関係から、どのキャラクターがどの程度フィーチャーされるかが上演時期や配役によって変化することも特徴です。
ここでは、フェルゼン編における主要人物とその役割を整理し、関係性がどのようにドラマを動かしているかを概観します。

フェルゼンとマリー・アントワネット

フェルゼンとアントワネットは、物語の中心となる恋人同士です。
フェルゼンは、理想主義と誠実さをあわせ持つスウェーデン貴族として描かれ、アントワネットは、未熟さと気高さを同時に抱えた王妃として登場します。
二人の関係は、単なる情熱的な恋ではなく、互いの孤独を理解し合う精神的な結びつきとして描かれます。
そのため、直接的な愛情表現は抑制されながらも、一挙手一投足や視線、歌詞のニュアンスから深い愛情が伝わってくる構造になっています。

宝塚では、この二人をトップスターとトップ娘役が演じることが多く、劇団の看板コンビの魅力が最大限に発揮される演目として位置づけられています。
また、歴代の演者によって、フェルゼンはより情熱的に描かれたり、逆に冷静な貴公子として描かれたりと、表現に幅があるのも見どころです。
アントワネットも、儚く脆い王妃像から、強く気高い女王像まで解釈が分かれるため、複数の公演を見比べる楽しみが生まれます。

オスカルとアンドレ、王妃を取り巻く人々

フェルゼン編であっても、オスカルとアンドレは極めて重要な役割を担います。
オスカルは近衛隊長として王妃を守る立場から、王政側と民衆側の橋渡し役を果たし、物語に道徳的な視点を与えます。
アンドレは庶民の出自ゆえに、王妃の贅沢に対する民衆の怒りを象徴しつつも、オスカルへの一途な愛を通じて、人間的な温かさと悲哀を提供します。
フェルゼン編では、オスカルとフェルゼンが王妃を守ろうとする同志のような関係性で描かれることも多く、男役同士の共闘シーンが見どころとなります。

また、ルイ16世は優柔不断でありながらも善良な王として描かれ、観客に単純な悪役ではない複雑な感情を抱かせます。
ロザリーやポリニャック夫人など、女性キャラクターも王妃の周囲を彩る存在として重要です。
彼女たちの価値観や行動が、アントワネットの選択に影響を与え、物語全体の方向性を左右する点も見逃せません。

民衆側のキャラクターと革命の象徴

フェルゼン編では、民衆側のキャラクターはオスカル編ほど前面には出ないものの、革命の必然性や時代のうねりを示す重要な役割を果たします。
無名の群衆として描かれることもあれば、革命家やジャーナリストとして具体的な人物に焦点が当てられることもあります。
彼らはしばしば力強い群舞や合唱を通じて登場し、王妃側の静的な場面との対比でダイナミズムを生み出します。
また、パンを求める母親や、理想に燃える若者など、個々の背景が垣間見える人物を配置することで、革命が単なる暴力ではなく、積み重なった不満の結果であることが示されます。

このように、フェルゼン編の登場人物たちは、誰一人として単純な善悪で割り切れない存在として描かれます。
それぞれの立場と信念が交錯することで、悲劇が避けがたいものであったことが観客に伝わり、物語の説得力が増していきます。

宝塚版ならではの構成と演出の特徴

ベルサイユのばらは、原作漫画とアニメも広く知られていますが、宝塚版フェルゼン編は、舞台芸術としての特性を最大限に生かした独自の構成と演出を持っています。
大階段を用いたフィナーレや、トップコンビのデュエットダンス、群舞による革命シーンなど、宝塚歌劇団ならではの舞台装置と表現手法がふんだんに盛り込まれています。
また、上演時代や演出家によってシーンの取捨選択や台詞、歌の扱いが異なるため、公演ごとに異なる魅力を持つのも特徴です。

ここでは、宝塚版フェルゼン編の構成上の工夫と、舞台ならではの演出ポイントを解説し、映像や音源を鑑賞する際に注目したい視点を整理します。

ミュージカルナンバーと名シーンの構成

宝塚版フェルゼン編には、多くの印象的なミュージカルナンバーが配置されています。
仮面舞踏会でのロマンティックなデュエット、ヴァレンヌ逃亡の緊迫したコーラス、王妃の心情を吐露するソロなど、音楽が登場人物の感情を豊かに描き出します。
特に、フェルゼンがアントワネットへの想いと自らの進むべき道を歌う場面は、作品全体のテーマを凝縮した重要なナンバーとなっています。
音楽のモチーフが場面をまたいで反復されることで、観客は無意識のうちに恋と悲劇の連続性を感じ取ることができます。

名シーンとして語り継がれるのは、仮面舞踏会、ヴァレンヌ逃亡、別れのデュエット、そしてラスト近くの回想や祈りの場面です。
これらは単にストーリー上のクライマックスであるだけでなく、舞台装置、照明、衣装、音楽が総合的に結実する場となっています。
観劇や映像鑑賞の際には、それぞれのシーンでどのような視覚的・音楽的工夫がなされているかにも注目すると、作品理解が一段と深まります。

歴代演出版と最近の上演傾向

ベルサイユのばら フェルゼン編は、1970年代の初演以降、演出や構成を変えながら何度も再演されてきました。
初期の公演では、原作漫画のエピソードを比較的忠実になぞるスタイルが主流でしたが、近年の公演では、人物の心理描写やドラマの流れを重視し、場面の再構成が行われています。
フェルゼンとアントワネットの心理的葛藤をより掘り下げるために、二人の会話シーンを増やしたり、ルイ16世やオスカルの内面を補強する台詞が加えられたりといった工夫が見られます。

また、最近の上演傾向としては、美術や照明技術の進化に伴い、仮面舞踏会や革命シーンの視覚的な迫力が格段に増しています。
映像的な効果や照明の細やかな切り替えを用いることで、時代の転換点や心情の変化が一層分かりやすく演出されています。
公演情報は常に更新されているため、観劇を検討している場合は、最新情報をチェックしておくと良いでしょう。

他バージョン(オスカル編など)との上演形態の違い

同じベルサイユのばらでも、オスカル編、アンドレ編、ジェローデル編など複数のバージョンが存在し、それぞれ上演形態や構成が異なります。
フェルゼン編は恋愛要素が強く、トップコンビを前面に押し出す構成が取りやすいため、大劇場公演や全国ツアーなど幅広い形態で上演されてきました。
一方、オスカル編は革命シーンの群集劇が大きな見どころとなるため、大人数の出演者が揃う公演との相性が良い傾向があります。

上演形態の違いを理解するために、簡単な比較表を示します。

バージョン 主な焦点 上演の特徴
フェルゼン編 王妃とフェルゼンの恋 ロマンティックな場面が多く、トップコンビ中心
オスカル編 オスカルとアンドレ、革命 群集劇と戦闘シーンが充実
その他の編 脇役に焦点(例: ジェローデルなど) 再演時のバリエーションとして上演

このように、フェルゼン編は宝塚の中でも特に恋愛ドラマとしての魅力が前面に出る構成となっており、初めてベルばらに触れる観客にも理解しやすいバージョンと言えます。

観劇・映像鑑賞をより楽しむためのポイント

フェルゼン編のあらすじを把握したうえで観劇や映像鑑賞に臨むと、細かな表情や演出の意図がより明確に感じられるようになります。
ここでは、ストーリー理解を一歩進めるための視点や、歴代公演を楽しむ際のポイントを整理します。
舞台芸術としてのベルサイユのばら フェルゼン編を、より立体的に味わうためのガイドとして活用してください。

特に、同じ場面でも演者によって解釈やニュアンスが大きく変わるのが宝塚の醍醐味です。
一度観て終わりではなく、複数の公演やキャスト違いを見比べることで、作品の奥行きを何倍にも感じられるでしょう。

押さえておきたい歴史的前提知識

ベルサイユのばら フェルゼン編は、史実を背景にした作品であるため、フランス革命やマリー・アントワネットに関する基本的な知識を少し持っておくと、理解がぐっと深まります。
例えば、ルイ16世が財政難と政治改革の失敗に悩んでいたこと、アントワネットが外国出身ゆえにフランス国内での人気が低かったこと、革命が突然起きたのではなく長年の不満の蓄積の結果であったことなどです。

一方で、フェルゼンとアントワネットの関係については、史実では確証がない部分も多く、宝塚版はフィクションとしてのロマンを前面に出しています。
このバランスを理解しておくことで、歴史ドラマとしても恋愛劇としても作品を楽しむことができます。
難解な歴史書を読む必要はなく、物語の背景となるざっくりとした流れだけ押さえておけば十分です。

各キャストによるフェルゼン像・王妃像の違い

宝塚の魅力は、同じ役であっても演じるスターによって解釈が大きく変わる点にあります。
フェルゼンを演じるトップスターが、情熱的なロマンチストとして描くのか、冷静で理知的な貴公子として描くのかによって、アントワネットとの関係性の印象も変化します。
また、歌い方やダンスのニュアンスによって、フェルゼンの内面の揺れ動きが繊細に表現されるため、観客は自分なりのお気に入りのフェルゼン像を見つける楽しみがあります。

アントワネットも同様に、無邪気で少女的な王妃として描かれる場合と、最初から聡明で強さを持った女性として演じられる場合で、物語全体のトーンが変わります。
特に第二幕での覚悟と成長の度合いは、演者の解釈が色濃く反映される部分です。
複数公演を見比べる際には、仮面舞踏会、ヴァレンヌ逃亡、別れのシーンなど、同じ場面がどのように変化しているかに注目すると良いでしょう。

初めてベルばらを見る人への鑑賞アドバイス

ベルサイユのばら フェルゼン編は、宝塚ビギナーにも比較的入りやすい作品です。
恋愛劇としての分かりやすさ、音楽のキャッチーさ、衣装と舞台美術の華やかさが揃っているため、予備知識がなくても十分に楽しめます。
ただし、登場人物が多く、政治情勢の変化も描かれるため、事前に簡単な相関図や時系列を押さえておくと混乱しにくくなります。

観劇時には、すべてのディテールを理解しようとするよりも、まずはフェルゼンとアントワネットの感情の流れに集中してみることをおすすめします。
2回目以降の鑑賞で、オスカルやアンドレ、民衆シーンに目を向けていくと、毎回新しい発見があるはずです。
また、舞台の左右で同時進行している演技にも注目すると、群衆一人ひとりにまでドラマが宿っていることが分かり、宝塚ならではの層の厚さを感じられます。

まとめ

ベルサイユのばら フェルゼン編は、スウェーデン貴公子フェルゼンとフランス王妃マリー・アントワネットの恋を中心に、フランス革命という大きな歴史のうねりを描いた壮大な作品です。
第一幕では華やかな宮廷と運命的な出会い、仮面舞踏会での禁断の恋の芽生えが描かれ、第二幕ではヴァレンヌ逃亡の失敗や王妃の最期を通じて、愛と責務の葛藤がクライマックスを迎えます。
オスカル編とは異なる視点から同じ時代を描くことで、ベルサイユのばらという作品世界の多面性が浮かび上がります。

宝塚版ならではの音楽、群舞、演出によって、歴史とロマンが高いレベルで融合し、観るたびに新たな感動を与えてくれるのがフェルゼン編の大きな魅力です。
あらすじと登場人物の関係性、時代背景を押さえておけば、初めての観劇でも十分に物語に浸ることができます。
これからベルサイユのばら フェルゼン編に触れる方も、すでに何度も観たことのある方も、自分なりのフェルゼン像・アントワネット像を探しながら、舞台芸術としての奥深さをじっくり味わってみてください。

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